2011年2月25日金曜日

山椒は小粒でもピリリと辛いか!?――「HP Mini 110-3000」を試す

 従来から、精力的にNetbook分野に取り組んでいる日本ヒューレット?パッカード(HP)。2010年8月現在も、デザイナーズモデルの「HP Mini 210 Vivienne Tam Edition」を筆頭に、「HP Mini 210 初夏モデル」、そしてここで取り上げる「HP Mini 110-3000」と全3モデルをラインアップしている。いずれも7万円を下回る低価格モデルばかりで、このHP Mini 110-3000は同社の直販サイト「HP Directplus」で4万4940円と5万円を切る価格が目を引く。まずは上位モデルと何が異なるのかを見ていこう。

【拡大画像や他の画像】 【グラフ:ベンチマークテスト結果】

 同社のNetbookシリーズで最上位となるVivienne Tam Editionは、ファッションデザイナーのヴィヴィアン?タム氏が手がけたバタフライが液晶ディスプレイ天面にあしらわれるほか、チョウのデザインを配したワイヤレスマウスや専用の化粧箱が用意されるなど、非常に手の込んだモデルだ。ミドルレンジのHP Mini 210も「ZEN-design“facet”(フェシッ
ト)」と呼ばれる格子状の細かいパターンを液晶ディスプレイ天面に採用し、キーボードもVivienne Tam Editionと同じ浮き石型(アイソレーションタイプ)となっている。

 それに対しHP Mini 110-3000は、液晶ディスプレイ天面部分こそ光沢感あふれる「HP Imprint」テクノロジーを導入しているものの、柄などがないシンプルなブラック(名称は「漆黒」)で彩られている。キーボードも浮き石型ではなく、従来タイプのキートップとなっており、随所に上位モデルとの違いが見られる。とはいえ、単なるコストダウンでチープに見えるわけではなく、全面にネジがないデザインを踏襲しており、Netbookだからといって手を抜かない同社のこだわりが感じられる。

●スペックはNetbookそのもの

 主なスペックを見ていくと、CPUはAtom N475(1.83GHz/2次キャッシュ512Kバイト/メモリバスクロック 667MHz)、チップセットはIntel NM10 Express、メモリは1GバイトのDDR2 SDRAM、HDDは容量160Gバイト(5400rpm)、グ
ラフィックス機能はIntel GMA 3150(CPU統合)、OSはWindows 7 Starterと、仕様はいかにもNetbookだ。液晶ディスプレイは10.1型ワイドで、画面解像度は1024×600ドットにとどまる。上位モデルでは1366×768ドットの液晶ディスプレイを搭載したものもあり、明確な差が付けられている。とはいえ、CPUは上位モデル(Atom N450/1.66GHz)に比べて高速で、逆転現象が起きているのは面白い。

 本機のボディサイズは268(幅)×194(奥行き)×23.5?32.6(高さ)ミリ、重量は約1.23キロだ。

 通信機能は100BASE-TX対応の有線LANにIEEE802.11b/g/n対応の無線LANで、アナログRGB出力と3基のUSB 2.0ポート、マイク/ヘッドフォン兼用出力を備えるなど、必要な機能やインタフェースは装備されている。液晶ディスプレイ上部にはWebカメラを標準で備えており、気軽にビデオチャットも行える。

 HDDのアクセスランプが左側面、電源ランプが右側面にあっ arad rmt
たり、有線LANのポートがカバーで覆われているなど気になるところもあるが、USB端子は左右に並んでおり、インタフェースの構成や配置に不満はない。

●スタンダードな正方ピッチのキーボードを採用

 液晶ディスプレイは10.1型ワイドの非光沢タイプで、上位モデルのようにLEDバックライトを採用しないため、液晶ディスプレイ部分はやや厚みがある。明るさは11段階に切り替えられ、最高輝度時は明るく、最低輝度もかなり下げられる。上下の視野角は狭いが、左右はそれなりにあるので表示内容の確認で苦労することはないだろう。

 入力環境を見ていくと、キーボードは約17.6ミリピッチの正方キートップを採用している。前述したように浮き石型ではないが、キートップが13.5×13.5ミリの正方形に盛り上がっているので、実質的にキーとキーの間隔は3.5ミリある“アイソレーション風”だ。さすがに最下段のキーはキーピッチが約13.6ミリと細長で、上下のカーソルキーが8×14ミリと極小だが、不規則な配列もなく、スペースバーが69.5ミリと長いのはうれしい。ボディ中央部分のキーを強く押し込むとややしなるが、キー入力時にカチャカチャという耳障りな音がしないのは好印象だ。

 なお、出荷時はファンクションキーが音量調節やメディアコントロールキ cabal rmt
ーに割り当てられているので、ワンタッチでファンクションキーを利用したい場合はBIOSセットアップの「Action Keys Mode」で切り替える必要がある。また、Windows 7の起動前にWebブラウズやメールチェック、フォトビューワーなどを楽しめる「HP Quickweb」が標準で起動するようになっているため、こちらのオン/オフ切り替えもBIOSセットアップなどで設定する必要がある。

 一方、タッチパッドのサイズは78(横)×32(縦)ミリと横長で、Vivienne Tam Editionのようなクリックボタン一体型クリックパッドではなく、スタンダードなタイプだ。シナプティクス製の多機能ドライバが導入済みで、エッジ部分を利用したスクロールやタッチモーションを利用できるが、2本指のスクロールやつまみズーム、回転といったマルチタッチ操作は非対応(チェックボックスはあるが、グレーアウトされている)なのが残念だ。

 加えて、タッチパッドの位置がホームポジション直下ではなく、ボディ左右中央にあったり、左右のクリックボタンがパームレストより若干くぼんだ位置にあるので押しにくく感じた。なお、無線LANの電源はF12キーと兼用で、電源オン時に白、オフ時はオレンジに点灯する。


●底面はフラットでレバー操作だけでカバーの着脱が可能

 ACアダプタはサイズが35(幅)×95(奥行き)×27(高さ)ミリ、重量が241グラムと小ぶりだが、電源ケーブルはACアダプタとの接続が3ピンでケーブルが太く、携帯時は付属のL字型アダプタ(約42グラム)を活用したい。

 バッテリーは標準の3セル(10.8ボルト 2500mAh)で、駆動時間は約4.5時間となっている。上位モデルにある6セルの大容量バッテリーは、オプションで用意されないので注意したい。

 本機は底面がフラットでメモリスロットがないように見えるが、底面は1枚の大きなカバーで覆われており、多少のコツは必要だが工具を使わずにレバー操作でカバーを開けられる。カバーを取り除くとメモリスロットやHDDベイが現れるので、いざとなればパーツの換装も行える。ちなみに、メモリスロットは1基のみ(200ピンSO-DIMM/DDR2 SDRAM)で、2.5インチHDDは9.5ミリ厚まで収納可能だ。

●一部のテストでは上位モデルを上回るスコアも

 最後に、本機のパフォーマンスをベンチマークテストで検証しよう。評価機のスペックを改めてまとめる
と、OSはWindows 7 Starterで、CPUはAtom N475(1.83GHz/2次キャッシュ512Kバイト/メモリバスクロック 667MHz)、チップセットはIntel NM10 Express、メモリは1GバイトのDDR2 SDRAM、HDDは容量160Gバイト(5400rpm)、グラフィックス機能はIntel GMA 3150(CPU統合)だ。なお、バッテリーテストを除き、すべてアナログRGB出力経由で外部ディスプレイに接続した状態(1024×768ドット)でテストを行っている。

 従来のMini 110からプラットフォームがPine Trail(開発コード名)に改められたとはいえ、その性能はNetbookらしく地味だ。ただ、CPUが上位モデルよりも高速なので、CPU自体のスコアはHP Mini 210 Vivienne Tam Editionを上回る。

 バッテリーの駆動時間は、海人氏作のBBench V1.01を使って計測した。設定条件は液晶ディスプレイの輝度を最高、
電源設定をポータブル/ラップトップにし、Web巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオンにしたところ、約3時間27分動作した(残量は7%)。公称の駆動時間には及ばないが、外出での利用も対応が可能だろう。

 システムに高い負荷をかけると底面がやや熱を帯びるが、手が触れる部分は熱くならない。ただ、左側面の排気口から聞こえる風切り音がやや気になった。

●上位モデルとの価格差が悩ましいが、オリジナリティは健在

 上位モデルに比べてボディサイズがやや大きめで重量もわずかに重く、バッテリー駆動時間も微減している本機だが、同社らしいデザインのこだわりや細かい作り込みが感じられる1台になっている。ただ、悩ましいのが4万4940円という価格だ。本機は直販のHP Directplusのみで扱われ、上位モデルのHP Mini 210とHP Mini 210 Vivienne Tam Editionはいずれも直販モデルの取り扱いが終了しており、店頭モデルのみ購入できる。上位モデルは、2年間ライセンス版のOffice Personal Edition 2007プリインストールモデルなどバリエーションモデルがあるが、Mini 210で4万円?4万
5000円前後、Vivienne Tam Editionで6万円前後で販売されている例が多く、ポイント還元などを考えると本機との価格差が切ない。

 とはいえ、上記のように性能は上位機に迫る部分もあり、単純にボディデザインの好みやメモリ/HDD容量、ポイント還元を含めた価格差を総合的に考えれば、おのずと結果は出てくるはずだ。ごくシンプルなNetbookを探しているユーザーにとって、本機は魅力的な選択肢になるだろう。欲をいえば、本機のデザインで高解像度版(1366×768ドット)が用意されると、さらに魅力が高まるように思う。【田中宏昌(撮影:矢野渉),ITmedia】


【関連記事】
今が旬の新モデルを網羅:ミニノート/Netbook/UMPCのすべて
ゴールドなエクスペリエンスが味わえる?――「HP Mini 210 Vivienne Tam Edition」実力診断
「HP Mini 210 Vivienne Tam Edition」の世界に浸る
AMD製クアッドコアCPU搭載ノート――「HP Pavilion
Notebook PC dv6a/CT」を駆る
日本HP、Core i5搭載の夏モデルノート「dv6p」など4製品を発表
rmt アトランティカ

引用元:ロハン(新生R.O.H.A.N) 専門サイト

0 件のコメント:

コメントを投稿